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「ありぃー? コノハ達もう来たのー? ん~夕方じゃなかったっけ?」
シカに獣化しかけている女の子の鼻先ををペロペロ舐めていたフェネックになっているめえが最初に口を開いた。驚いた割にはのんびりとした反応。
「ふえぇ? 何なの? あ、あうぅ……だめっ……変身しちゃう……」
一方、めえを両手で持っている女の子はイキナリ扉が開いたことに驚くも、苦悶の表情を浮かべ始めた。メキメキと髪の毛から角が生えてきている。
「え、えっと、その、めえを驚かそうと思ってぇ……あはは」
コノハが苦笑いしながら答える。めえの後ろで苦悶の表情を浮かべてシカに獣化していく女の子が気になって仕方がない。
「ごくっ……」
カリンが一際大きく唾を呑んだ。
嫌な予感がしてコノハがカリンの方を見ると……カリンは滑らかな手の動きでデジカメを装備した。目が眩しいくらいに光り輝いている。
「カリン! 勝手に人の変身しているとこ撮りなや!!」
コノハが慌てて大声で言った。
しかし、カリンはもう自分の世界に旅立っていて聞こえない。
「はぁ……はぁ……」
カリンの変態性を改めて認識する。
「何がどうなっているんや?」
テンリはこの状況についてこれていない様子だった。
「はうぅぅ……らめぇ……めえちゃん、手が蹄に変わっちゃう……抱き上げてられないから、床に下ろすよ……ハァハァ……」
「ナナミちゃん! ダメダメ、変身のコントロール! めえを抱いてて!」
「ふぇ!? そんな、む、無理だよぉ」
ナナミちゃんと呼ばれた女の子はめえに強く言われて、めえを降ろそうとした手がそのまま止まってしまった。しかし、爪が茶色く大きくなってきている。
「はぁ……はぁ……」
カリンは写真を撮る。ムービーがいいか迷ったが、まずは写真がいいと判断した。
「ちょっとヤメぇ!」
コノハがカリンにやめさせようと思い、デジカメを取り上げようとした。しかし……
「え?」
カリンは鮮やかにコノハから逃げる。
「カリン!」
ひらり。カリンはまたもや避ける。
「こんのぉ~~、カ・リ・ン!」
コノハが大声で怒鳴ってもカリンには聞こえていない。コノハは何度もカリンに近付くが、巧妙なほどいいタイミングで避けるのでカリン自体に触れられない。
それを見ていたテンリは、何かのアニメでも見ているようだった。
「あうぅっ、しっぽ生えたよぉ」
「ナナミちゃん、我慢我慢! 集中するの!!」
めえはそう言って、ナナミの顔をペロペロ舐める。
「はぁ……はぁあん……あふぅ……さっきは変身していいって」
「変身のきっかけつくんなきゃコントロールもできないでしょー! あ、めえが落ちる落ちる! 手を蹄から戻して!」
「いやぁっ、はぁっ、我慢……うぅぅ」
ナナミの手が蹄化していく。めえを両手で掴めなくなっていく。
めえ達はそう思わなくても、コノハ達から見れば、めえ達はとてもエロチックに見えた。
カリンはその光景に引き込まれ、頭の中で俺得な妄想を爆発させている。カリンフィルターにはめえとナナミ以外映っていない。
「あ、うううううん! いけそう! 蹄から戻せそう!」
「がんばれ、がんばれ!」
めえがナナミにエールを送る。少しずつ、ナナミの蹄化した手がヒトの形に戻っていく。指は完全に五本に分かれた。
「あ」
しかし、手に意識を集中し過ぎたのか、胸元、首筋、背中、ふとももの周りが一気に獣化し、もさっと獣毛が生えてしまった。
「うわぁっ!」
めえも目の前が一気に膨らんだので驚いたようだ。服を着ているので、一気に巨乳になったように見える。
「わほぉっ! ムービー、ムービー」
カリンの撮影は止まらない。一つ、幸運なことがあるとすれば、それはナナミが自分のことで精一杯で、カリンが撮影していることに気付いていないことだ。
「あはぁ……うぐぅ……」
ナナミの鼻先が少し突き出る。
「ナナミちゃん、マズルは……そのままでいいか」
めえは思い直したように言って、少し突き出たナナミのマズルをペロペロ舐める。
「ふぇぇ、マズルはいいのぉ?」
「ケモノ顔の方がかわいいもん」
「どうしよう……いろいろ中途半端な姿になっちゃったよぉ」
ナナミの体は服に覆われていて露出している部分だけでも、ヒトとも動物とも獣人とも似つかぬ姿になっている。手足はヒト、鼻先は少し突き出ている、角も生え、しかし、髪の毛は顕在、胸元、首筋、背中、ふとももの周りに獣毛が生え、しっぽもできている。
「いいのいいの。まずはその中途半端な姿を維持することからコントロールはうまくなるの!」
めえがニコリと笑う。
「ちょっと恥ずかしいよぉ」
ヒトとシカが中途半端に混じり合った……キメラのような姿。しかし、ナナミはなんとか今の姿で維持できそうな気がした。
「はふぅー、んー、あー、何とかこのままでキープできそう」
「おぉ! ホント! やったね、ナナミちゃん!」
めえが耳をピクピク動かしてしっぽをもっっっさぁぁぁと膨らませて喜びの感情を示す。
「いやぁ、そんな舐めないで! くすぐったいよ、めえちゃん!」
めえとナナミが和気あいあいとしている一方、コノハはカリンに撮影を止めさせようと必死になり、カリンはそれを避け、テンリはそのカオスな状況をやや離れた場所から見ていることとなった。