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「!?」
「あ、コノハ! 何だ、先に部室行ってたんや。どこに行ったんかと」
カリンを引き連れて部室から出た瞬間、テンリと会った。しかし、テンリは腕にアヒルを抱えている。
「あ、うん、そう……えーっと、それは?」
「可愛いでしょ。ガー子」
アヒルのガー子。大学内の池に住み、時々餌をねだりに校内を歩き回る人懐っこいアヒル。ガー子と呼ばれているが、オスかメスかは不明。
「いや、たまたま近くに寄って来たもんだから、持っていたパンを少しあげてね、捕まえられるかなとか思ってみたら、捕獲できちゃってん♪」
運動が得意ではないテンリがまさかアヒルを捕まえるとは……アヒルがマヌケなのか、テンリの素早さが上ったのか……
「コノハも抱いてみる? 意外に重い。臭いけど」
そう言って、拒否する間もなくテンリにアヒルを渡される。
「た、確かに……」
確かにちょっと重かった。そして鳥臭い。ガー子は何故か大人しかった。
「それで、これ、どうしたらいいん?」
「ん? 満足したら放してあげて」
「よっ、バイバーイ!」
ガー子は地面に着くや否や高速で走って逃げて行った。やっぱり嫌がっていたようだ。
「コノハ~、うちを忘れてへんか~?」
テンリとアヒルの思わぬ遭遇に頭を持っていかれていたが、本来の目的を思い出した。
「コノハは何してるん?」
「えっと、ちょっと、カリンがね……」
言うべきか言わざるべきか少し迷ったが、テンリならいいかと思って言うことにした。
「ちょっときてきて」
「ん?」
「あ、やぁ……やーん/////」
カリンがキモい声を出す。テンリが驚いた顔でコノハを見る。しかし、コノハがカリンのズボンを引っ張って見せたナニをテンリが見て戦慄した顔になった。
「ナニコレ?」
「……男の人のアレ……みたい……しかも、動物の」
「はぁ?」
テンリが意味がわからないというような顔をしてもう一度カリンのブツを見る。
「ちんこ?」
「シー! そうやけど、シー!」
コノハは慌ててテンリに言った。
「カリンは何をやらかしたんや?」
「私にもわからへん。カリンも何でこんなんなったんかわかってへんみたいやから、ビーストトランス連れて行こうかと思って」
「なるほどね……」
テンリは少し考えたような仕種をした後、こう言った。
「わたしも一緒に行く」
「そ、そう? それはありがたいけど」
「何か面白そうやし」
やっぱりそう言うことだった。しかし、テンリが付いて来てくれるのはいろいろ有り難い。万が一にでもカリンに襲われたら体格的にコノハ一人では敵わない。
「なぁ、そろそろ手錠外してくれてもー」
「あかん!」
カリンの要望を却下して、コノハとテンリは大学を出た。